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エビの香りとフワフワ食感がたまらない【玉子】
続いては、ホッとする甘さが人気の玉子(「おたる政寿司 すすきの店」では、玉子を【ぎょく】と言います)の作り方を見せて頂く。
ちょっとしたデザート感覚で玉子を楽しみにしている方は多いはず。
ほど良い甘さ、食感のアクセント、見た目の美しさは、どのようにして造られるのか、興味津々。

厨房内に入らせて頂くと、鮮やかな黄色が目に飛び込んで来た。
まるで、スポンジケーキの生地のようだ。
これが、「おたる政寿司 すすきの店」の玉子液(右写真)。
今回の量は3本分で、なんと25個の卵を使っている。
卵は、“美味しい玉子をつくるには良い卵が必要”ということで、決まった卵を使用していると言う。
その卵は、ハリが全然違うのだとか。
玉子液の中身は、エビのすり身、みりん、砂糖、醤油、塩etc...、(エビのすり身は除いて)普段家庭でつくる玉子焼きとなんら変わりはない。
ということは、「おたる政寿司 すすきの店」の玉子の旨さの秘密は、それぞれの材料の割合にあるのか?
「それは教えられません(笑)」と、中村社長。
そうですよね、失礼致しました。(笑)





玉子液ができあがったら、次は【焼き】の工程。
玉子は焼き過ぎが禁物。
焦げの匂いが付いてしまうと使い物にならないと言う。
180℃のオーブンの中に玉子を入れ(右上写真)、15分後1回目のチェック(左上写真)。
まだ、玉子の表面が波打っているのが分かる。
これはまだ裏返すタイミングではないとのこと。
1回目のチェックの後は、5分おきに細かくチェックする。
コハダの仕込み同様、その日の気温や湿度などによって、できあがりの時間が全く違うのだ。
2回目のチェック(右写真)。
大分良い感じになっているように素人目には見えるが、「まだまだ。」と、中村社長。
玉子の表面が全体的に乾いたときが、裏返すタイミング。
3回目のチェックでOKが出て裏返すと、香ばしさと甘さの混ざった、何ともいえない良い香りが漂ってきた。
できあがるのが待ち遠しい。
しばし待つと「焼き上がりました!」の声。
黄金色に輝く、ふんわりとした玉子が「お待ちどうさま〜」と言わんばかりに登場!!(左写真)
この後、冷蔵庫で1日〜2日寝かすと、味が落ち着き、甘みが増すと言う。
でも、どうしても焼きたてを味わってみたくて、中村社長に無理を言って包丁を入れてもらった(下写真)。
ホワ〜ンと上がる湯気までもが美味しそうに見える。
口に入れると、しっとりとした食感の中に適度な甘み、そしてじんわりとエビのすり身の旨味が広がり、何だかホッとする味わいが楽しめた。
玉子が美味しい寿司店は本当に良い寿司店だと言われるが、「おたる政寿司 すすきの店」は、その期待を裏切らない。
卵の持つ旨味をじっくり時間をかけて焼き上げる玉子。
見た目に美しく、食べて至福のそのネタは、まさに【寿司の芸術品】。
絶妙な材料の割合や微妙な温度調節など、コハダ同様に職人さんの力量を如実に物語るネタだと言っても過言ではない。
マグロの一番美味しい食べ方【漬けマグロ】
寿司の花形、マグロ。
「大トロ」、「中トロ」など、マグロはその種類や部位によって味が異なることで、多くのファンを惹きつけている。
その中でも人気が高いのが漬けマグロ。
特製のタレにじっくりと漬け込んだマグロは、味わいが上品で、いくらでも食べられそうな感じがする。
この日のマグロはボストン産(左写真)。
ゆうに重さ200kgを超える脂ののった最高級のマグロだ。
それ以下の重量だと赤身が薄く、水っぽさが感じられるため、「おたる政寿司 すすきの店」では、180kg〜200kg位の特大のマグロを厳選して仕入れているそうだ。
「マグロは、家庭にあるキッチンペーパーに包んだ後、ラップをして解凍すると余計な水分が取れて、上手に解凍できるよ。」と、中村社長。
実際に、「おたる政寿司 すすきの店」でもこの方法で解凍している。
良いことを教えてもらった。
早速、今日から実行してみよう!(しかし、その前にマグロを買わねば…)
こうして解凍したマグロに包丁を入れていく(右上写真)。
この包丁の入れ方にもプロならではの技があった。
包丁を立たせた状態で入れ、途中包丁を寝かせるようにして、最後はまた包丁を立たせて手前に引くという切り方をすると、波打つようなきれいな仕上がりになるのだ。
練習してみる価値ありだ。
次に、切ったマグロを煮きり醤油に数分漬ける(左写真)。
これによって、ただ醤油を付けたのとは違う、深みのある味わいが生
まれる。


漬けマグロができあがると、中村社長はさっと握ってくれた(右写真)。
口に運ぶと、マグロそのものの旨味と、煮きり醤油に漬けたせいか適度に身が締まっている感じがあり、たまらない美味しさが広がる。
「良いマグロを使っているから、漬けマグロも旨いんだよ。」と、中村社長。
でも、ただ単に良い食材を使えば美味しいネタになるというわけではなく、それに職人さんそれぞれがこだわる仕込みの一手間を加えることで、先ほど味わったような美味しい漬けまぐろが造り出されるのではないだろうか。

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